ウクライナ軍も苦しい状況にある

 ウクライナ当局は当初、米国等からの新たな武器・弾薬の提供を受けて、2か月以内にロシアの前進は停止し前線が安定化すると予想していた。

 確かに、ウクライナ軍のクリミア半島のロシア軍防空部隊や航空基地に対するドローンやATACMSによる攻撃は大きな成果を上げているし、ハルキウ正面のロシア軍の攻撃を撃退した。

 そして、ウクライナの情報総局の情報によると、ウクライナ軍に対する弾薬の到着により、ロシアとウクライナの砲撃数が7対1から3対1まで改善したという。

 しかし、ロシア軍の主攻撃方向である東部戦線においてはロシア軍の攻勢が継続していて、ウクライナにとっては厳しい状況が続いている。

●ウクライナ軍の兵力不足は解決していない

 ロシアが5月初旬にハルキウ攻勢を開始してから2か月が経過したが、最も激しい戦闘はボウチャンシクで行われた。

 この正面の戦闘を安定化させ、ロシア軍を国境まで押し戻すために、ウクライナ軍は最大で8個旅団を派遣し、ハルキウ正面全体では14個旅団以上の部隊で対処した

 そのため、ウクライナの予備兵力は不足している。

 昨年秋に創設された第150連隊から154連隊までの5個連隊は、ウクライナが保有する最後の戦略的予備兵力の一部であるが、その準備態勢は不十分で全体的な能力は高くはない。

 そして、ロシア軍の進撃は全体的に遅々として進まず、多大な犠牲を払っているが、ウクライナ軍の指揮官たちも、消耗した部隊を危機的な作戦地域から別の作戦地域へとローテーション移動させることを常に強いられている。

 このローテーションが必ずしも上手くいっていないのだ。

 つまり、ウクライナ軍は兵力が十分でない状況で、多くの予備部隊をハルキウ正面に投入し、兵力不足になり、疲弊した兵士たちを適切に交代させることが難しいのだ。

 兵力不足については、徴兵人員の若年齢化などの法的措置により、ある程度の動員がなされて、マンパワーに関する最悪の事態は避けられたと主張する者もいる。

 しかし、かなりの数の若者が徴兵を避けるために国外に脱出しているという情報もあり油断できない状況だ。

 ウクライナは特に歩兵の増員を必要としている。ウクライナの大隊は結局、精強な歩兵小隊が少なく、重要な任務を遂行できない状況だ。

 歩兵は突撃のためだけではなく、建設中の防衛線や塹壕を保持するためにも必要だ。