ATACMSのロシア領内での使用制限問題

 バイデン政権は現在、米国製兵器の使用制限を100キロまで認めたが、ATACMSの使用制限は解除していない。図3を見てもらいたい。

 赤で示したところが射程80キロまでの砲弾が到達する範囲だ。その外側の黄色の部分が射程300キロのATACMSが届く範囲である。

 このATACMSの射程内にロシア軍の航空基地が複数あるが、射程80キロの弾薬では届かない。

 バイデン政権がATACMSの使用を認めれば、ロシア軍の航空基地を攻撃し、航空機を地上で破壊することができる。

 それはウクライナに大きな損害を与えている滑空誘導爆弾の脅威を削減することになるだろう。バイデン政権は、この不可解なATACMSに対する制限を除去すべきだ。

図3:米国製兵器使用の許可・禁止区域

出典:筆者作成

滑空誘導爆弾にいかに対処するか

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領大統領は6月22日に、「6月初めからだけでもロシアは2400発以上の滑空誘導爆弾を使用し、この内の約700発がハルキウ州に対するものだ。同爆弾を運搬する爆撃機などを破壊するための戦力と手段が必要だ」と発言した。

 滑空誘導爆弾はかなり不正確だが、破壊力はあり、ウクライナ部隊を制圧し、建物や要塞を破壊する。

 ウクライナ軍がアウディイウカから押し出された理由の一つは、滑空誘導爆弾の集中攻撃だった。

 これに対抗するためには、ロシア空軍の爆撃機を破壊する必要がある。

 そのためには、ATACMSや長距離ドローンで飛行場に駐機する爆撃機を破壊するか、空中で爆撃機を破壊する必要があり、効果的なパトリオットの大量配備が必要だし、「F-16」戦闘機の多数配備が必要だ。

 しかし、この問題は早期に解決しないであろう。