ロシア・ウクライナ戦争において、ウクライナにとって厳しい状況が継続しているが、米国等からの兵器や弾薬の提供を受けて最悪期は脱したようだ。
特に最近のロシア軍の攻撃で注目されているハルキウ正面において、ロシア軍の攻撃が頓挫し、一部においてウクライナ軍の反撃が実施されているという情報もある。
本稿においては、ハルキウ正面におけるロシア軍の攻撃に当初適切に対処できなかったのは、米国が米国製兵器のロシア国内の目標に対する使用を禁止しているからだという問題について考えてみたい。
バイデン政権の優柔不断で中途半端な政策決定
ロシア・ウクライナ戦争が3年目に入っても終着点が見えない。いつこの戦争が終了するのかが見通せない。
最も非難されるべきはウクライナへの侵略戦争を始めたウラジーミル・プーチン大統領であることは明らかだ。
一方で、優柔不断で中途半端な対外政策を連発しているジョー・バイデン大統領にも大きな責任がある。
多くの識者が「この戦争を終わらせることができるのはプーチンだけだ」と主張している。
プーチン氏にこの戦争をやめさせるには、「これ以上戦争を継続しても勝利を得ることができないし、戦争目的を達成することができない」と認めさせることだ。
そのためにはロシア軍に大きな損害を与え、その作戦を失敗させ、その士気を低下させるべきだ。
もうこれ以上戦うことができないという状況にまでプーチンを追い詰めないと彼は戦争をやめないだろう。
ところが、バイデン政権の根底には、以下のような本音があるとしか思えない。
「ウクライナの決定的な敗北は望まないが、決定的な勝利も望まない。ロシア軍の完膚なきまでの敗北によるロシアの大混乱を避けたい」
「プーチンを怒らせてこの戦争がNATO(北大西洋条約機構)とロシアの戦いにエスカレーションすること、ましてや核戦争にまでエスカレーションすることだけは避けたい」
バイデン政権の政策は優柔不断で中途半端で、ウクライナの戦争努力の足を引っ張っている。
私がここまで主張することには根拠がある。
ここ2年以上にわたるバイデン政権のウクライナに対する兵器・弾薬の提供の実態を見れば明らかだ。