5月16日、中国・北京で首脳会談を行った習近平国家主席と握手するロシアのプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 プーチン大統領は、5期目の大統領就任後の初の外遊先として中国を選んだ。中国との協力関係を強化することによって、国際的孤立状態を打破しようと意図しているようである。16日には、習近平主席と首脳会談を行い、包括的な戦略パートナーシップを強めるとの共同声明に署名し、両国の結束を誇示した。

プーチン訪中の狙い

 プーチンには、ベロウソフ国防相、ラブロフ外相、経済担当の副首相、国営企業のトップが同行している。

 アメリカ議会でウクライナ支援予算案が可決され、今後、支援が強化される中で、ロシアは戦略の見直しを行っている。

 軍事的には、アメリカからウクライナへの武器供与が再開される前に、攻勢を強めることである。東北部のハルキウ州を北方から攻撃し始めている。新たな戦線を開いたのであり、次は隣接するスムイ州へも戦線を拡大する予定である。こうすることによって、ドネツク州などの戦場からウクライナ軍を分散させることを狙っている。

 これに対しブリンケン米国務長官は、14日、キーウを訪れ、ウクライナへの武器支援を加速化させることを約束した。

 一方、プーチンは、戦争の長期化を念頭に戦時経済体制を確立することを企図している。経済専門家のベロウソフを国防相に任命したのは、そのためである。

 西側による経済制裁が強まる中で、プーチンは、中国との関係強化によって安定した戦時体制を築くことを考えている。昨年の両国の貿易額は、過去最高の2400億ドル超となっている。