クレムリンでの就任式に臨むプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 5月7日、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチンは大統領就任式に臨んだ。5期目である。任期は6年で、次回の大統領選挙で当選すれば、あと12年、つまり2036年までの超長期政権となる。

まるで“皇帝”のプーチン

 クレムリンでは、ロシアのエリートや外交団が臨席する中で就任式が行われ、プーチンは大統領就任の宣誓をした。その後、プーチンは伝統に従って、ブラゴヴェシェンスキー大聖堂(生神女福音大聖堂)で行われる祝福儀式に出席したが、特別礼拝はモスクワ総主教キリル1世によって執り行われた。この大聖堂は、帝政時代にはツアーリと皇族が奉神礼に参与する場所であった。

 ソ連邦の時代には、宗教を否定するマルクス主義の共産党が支配していたので、宗教儀式とは無縁であった。

 この一連の儀式を見ていると、帝政ロシアの皇帝(ツアーリ)の戴冠式そのものである。プーチンの振る舞いも、「ウラジーミル大帝」と呼びうる代物である。

 ピョートル大帝は、1712年にロシア帝国の首都をモスクワからサンクトペテルブルクに移したが、皇帝の戴冠式は、その後もクレムリンのウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)で行われた。

 1999年8月16日に首相に就任し、エリツィン大統領引退後に行われた2000年3月26日の大統領選でプーチンは当選し、5月7日に、ロシア連邦の第2代大統領に就任した。

 憲法で大統領任期が2期までと定められていたので、2008年3月の大統領選ではメドヴェージェフを大統領にし、自分は首相として実質的に最高権力の座を維持した。いわゆるタンデム(双頭)政権である。メドヴェージェフは、次の大統領から任期を6年に延長するという憲法改正を行った。

 2012年3月の大統領選挙で、プーチンは当選し、5月7日に第4代大統領に就任した。2014年3月には、プーチンはクリミアをロシアに併合した。

 2018年3月の大統領選では、76%超の得票率でプーチンが4選を決めた。そして、2022年2月24日に、プーチンは、ロシア軍をウクライナに侵攻させ、今も戦争が続いている。