ロシアのプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
欧州の航空便の40%に何らかの妨害
[ロンドン発]ウクライナで攻勢をかけるロシアがドローン(無人航空機)によるポーランドやルーマニアへの領空侵犯に続いて、北大西洋条約機構(NATO)加盟国への脅しをエスカレートさせている。国境を接するノルウェーやフィンランドへの圧力も強める。
ロシア、ベラルーシ両軍は9月12~16日、両国の演習場やバレンツ海で合同軍事演習「ザーパド2025」を実施。露国防省によると、リトアニアとポーランドに挟まれたロシアの飛び地カリーニングラード州で核搭載可能な短距離弾道ミサイル9K720「イスカンデル」の配備訓練を行った。
核搭載可能な原潜のミサイル攻撃訓練や北方艦隊による原潜への攻撃訓練のほか、長距離戦略爆撃機Tu-22M3がバレンツ海の中立水域上を4時間にわたり哨戒した。ウクライナ戦争の教訓を活かし、ドローン攻撃を回避できる全地形対応車(ATV)を用いた機動訓練も行われた。
9月15日、ロシアとベラルーシの大規模合同戦略演習「ザーパド2025」に登場したドローン(写真:Russian Look/アフロ)
ポーランド国境から25キロメートルの地点に軍用級のアンテナが設置されたと報じられる。欧州の航空便の40%が何らかの妨害を受けており、欧州委員会はおそらくロシアが原因と指弾する。ロシアは実戦で使える能力を国境近くで試すことでNATOへの圧力を一段と強めている。