ウクライナの拠点であったアウディイウカが2月18日にロシア軍に奪取されたとき、多くの人たちは、ロシア軍がその勢いに乗り、戦略的な軍事拠点や人口の中心地に向かって急速に前進することを恐れた。
しかし、その後数日で急速に前進したロシアの攻撃は、争奪戦となっている近隣の3つの村周辺で大きな犠牲を伴って停滞している。
米ニューヨーク・タイムズ紙によると、「今のところ、戦闘はこの1年の戦争の最前線での戦闘の多くを特徴づけてきた一進一退の戦闘、つまり膠着状態に戻っているように見える」という。
本稿では、ウクライナ戦線における地上戦ではなく、最近のクリミア半島周辺におけるロシア黒海艦隊に対するウクライナ軍の攻撃を取り上げる。
ロシア・ウクライナ戦争は「史上初めて無人機が大量使用された戦争」であり、無人機が戦争を大きく変化させている。
まさに無人機革命が起こっている。
無人機には、無人航空機(UAV、いわゆるドローン)、無人地上車両(UGV)、無人水上艇(USV)などがある。
最も使用されているのはUAVであり、ウクライナでは年間100万機のドローンが生産されていて、毎月1万機のドローンを失っている。
ロシアもこれと同等以上にドローンを生産する可能性がある。両軍ともにドローンは作戦において不可欠な存在になっている。
一般的に使用されているドローンという用語はもともと一部の無人航空機の呼称であったが、地上ドローン、水上ドローン、水中ドローンなどと無人機全般を指す用語になっている。
本稿においてもドローンを無人機全体を意味する用語として使用する。
ドローンは、ウクライナ軍にとってロシア軍の「量の戦略」に対抗するための「量と質の戦略」の中核の兵器の一つになっている。
ウクライナは、デジタル変革大臣のミハイル・フェドロフ氏を中心に無人航空機主体の「ドローン軍(Army of Drones)」を設立し、広く寄付を募り、多数のドローンを開発・生産し、軍に提供している。
また、ウクライナは無人水上艇主体の「ドローン艦隊(Naval Fleet of Drones)」を創設して作戦を実施している。
本稿においては、ドローン軍やドローン艦隊を利用したウクライナ軍の驚きの緻密な作戦の全貌を紹介する。