プーチンは本音では停戦を求めている

 プーチン大統領はウクライナとの停戦について、「敵が停戦を利用し、自らの状況を改善することは許されない。ロシアが受け入れられる『不可逆的な措置』にウクライナ側が合意しない限り停戦に応じない」と述べている。

「不可逆的な措置」とは、

①ウクライナ軍がドネツク州、ルハンシク州、ザポリージャ州、ヘルソン州から完全撤退すること、

②ウクライナはNATOに加盟しないこと、つまりウクライナに対する実質的に降伏を要求する内容だ。

 プーチン大統領は「ウクライナは勝てない、ロシアが勝っている、だからウクライナは手遅れになる前に和平を訴えた方がいい、これが最後のチャンスだ」というナラティブを推し進めることに大きな力を注いでいる。

 これに対して、ウクライナの識者たちは次のように主張している。

「プーチンが本音として停戦を求めていることは明らかだ。なぜ停戦を求めるのか。プーチンは、ウクライナとの大規模な戦争を行うためのロシアの資源に限界があることを知っているからだ」

「ロシアはウクライナとの停戦を必要としている。ウクライナが戦い続け、西側諸国が積極的にウクライナを支援し続ける限り、ウクライナに勝つことはできないことをプーチンは知っているからだ」

●RUSIの分析ではロシアの戦力のピークは2024年後半

 世界で最も古い安全保障分野のシンクタンク、RUSI(The Royal United Services Institute=英国王立安全保障研究所)のジャック・ワトリング氏とニック・レイノルズ氏は、「2024年を見通したロシアの軍事目標と能力」という論考の中で、以下のように指摘している(太字の部分)。

・ロシアの戦力は2024年後半にピークを迎える可能性が高く、2025年にかけて物量的な課題が増加する。

ウクライナに対する米国等の支援国が2024年にロシアの攻撃を鈍らせるのに十分な弾薬と訓練を提供し続ければ(筆者注:米国やNATO=北大西洋条約機構=の決定によりこの可能性は高い)、ロシアが2025年に大きな戦果を得る可能性は低い。

ロシアは依然として、ウクライナを2026年までに征服するという戦略的目標を維持している。しかし、ロシアが攻撃作戦のための兵力の質を向上させることができないため、2025年に大きな戦果を獲得できないとすれば、2026年までにゼレンスキー政権を屈服させるのは難しい。

2026年以降になると、ロシアのシステムの消耗によってその戦闘力は著しく低下し始め、その時点でロシアの産業は破綻する可能性がある。

・ミサイルのような複雑な兵器のもう一つの脆弱性は、西側諸国が調達する部品に大きく依存していることである。