繰り返される検察の「不服申し立て」

 日弁連によると、再審制度改正に関するもう1つのポイントは「裁判所が再審を認めた場合、検察官の不服申し立てを禁止すること」。すなわち、「検察官抗告の禁止」です。

 現在の法制度では、裁判所が再審開始を決定しても、検察官の不服申し立て(抗告)が認められているため、抗告があると、その都度、再審の開始決定が適切だったかどうかを裁判所が判断することになります。

 例えば、鹿児島県で1979年に起きた大崎事件では、殺人などの罪で有罪が確定した女性が無実を訴え続けていました。そして2002年、ついに再審開始決定が出ます。

 ところが検察側が即時抗告し、その後、再審開始決定は取り消しになりました。2回目の再審開始決定は2017年でしたが、またも即時抗告により決定は取り消し。

 そうしたことが3回にわたって繰り返され、事件発生から45年が過ぎた今も審理は継続中なのです。

 その間に女性は96歳になりました。まさに生涯を懸けて自分の無実を晴らそうとしているのに、いまだに裁判のやり直しは決着していません。