地震発生直後の避難風景=2024年1月3日、石川県珠洲市(写真:AP/アフロ)

元日に発生した能登半島地震から2カ月半が過ぎました。甚大な被害からの復旧は簡単ではありません。今も大勢の住民が避難生活を強いられており、その中には2次避難所に避難中の人も多数います。ところで、2次避難所とはどのような役割を持っているのでしょうか。いざというとき、どう運営されるのでしょうか。災害時には欠かせない存在となる「2次避難所」について、専門記者グループのフロントラインプレスがやさしく解説します。

フロントラインプレス

劣悪な1次避難所の環境、2次避難所の設置増える

 3月12日時点の石川県の発表によると、今回の地震では関連死も含め241人が犠牲となり、1188人が重軽傷を負いました。住宅の全壊・半壊・一部損壊は実に8万棟以上。輪島市と珠洲市の住宅被害は合計で2万3000棟余りとなり、市街地では見渡す限り住宅が壊れているという凄まじさです。しかも、そうした建物の撤去や復旧は難航しています。

 避難生活も長引いています。同じ時点で、1次避難所は188カ所開設され、避難者は約4800人。2次避難所は243カ所あり、こちらも約4200人が避難中です。

豪雨災害の際に設置された避難所。段ボールの間仕切り、プライバシーのない空間、雑魚寝という状況は長く続いてきた=2019年10月、長野市(木野龍逸撮影)

 石川県の資料によると、今回の地震では被災地の市と町が学校や公民館などの施設を1次避難所としました。住民が当面の危険を逃れるため、最寄りの場所で安全と食料・水などを確保するためのものです。発生直後の1月初旬には360カ所以上あり、合計でおよそ3万5000人が使っていました。

 ただ、能登半島地震に限らず、日本では災害が起きるたび、1次避難所の劣悪な環境が問題になってきました。教室や体育館などの広いスペースに何世帯もの住民が密集し、床に薄いマットレスを敷くだけ。隣との間仕切りもほとんどなく、プライバシーへの配慮にも欠ける……。

 そんな場面はこれまで何度も見せつけられてきました。昭和の避難所の写真と見比べても、区別がつかないほど。当面の危険を回避するためとはいえ、あまりにも劣悪過ぎるのではないかと指摘されてきたのです。

 そうした欠点を補うため、近年では災害の発生から間を置かず、2次避難所を用意するケースが増えてきました。