北陸新幹線(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

北陸新幹線・金沢―敦賀間の開業が3月16日(土)に迫ってきました。開業後、東京―福井間は最短で2時間51分、東京―敦賀間は3時間8分で結ばれます。新幹線が福井県を走るのは初めてです。この北陸新幹線を含め、日本の新幹線計画はどうなっているのでしょうか。専門記者グループのフロントラインプレスが「整備新幹線」をやさしく解説します。

フロントラインプレス

「かがやき」の一番列車、4分で完売

 今年1月1日に起きた能登半島地震により、石川県をはじめ北陸地方は大きな被害を受けました。とくに輪島市や珠洲市など被害の大きかった地域は、復興にはほど遠い状況です。そうしたなかでの新規開業ですから、地元関係者は手放しでお祝いする雰囲気ではないのかもしれません。

 それでも、開業を控えて地元のムードは次第に盛り上がってきたようです。延伸で新たに開業する駅は6つ。小松、加賀温泉(以上石川県)、芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀(以上福井県)の各駅です。それぞれの地元では開業に合わせたセレモニーや観光PRなどが予定され、東京―敦賀間を最速で結ぶ「かがやき」の一番列車は上り・下りとも発売から4分で完売しました。

 地域経済への好影響にも期待が高まっています。

 日本政策投資銀行の試算によると、新幹線延伸に伴う福井県の年間経済効果(直接効果)はビジネスで91億円、観光で100億円。これに二次効果も加えると、309億円に上ります。福井駅前には米大手ホテルのマリオットも進出します。これら福井県分に石川県分を加えた全体の経済波及は588億円に達すると算定されました。

 初めて新幹線が乗り入れる福井県の杉本達治知事は「まさに半世紀の悲願」と語っています。他の4路線とともに、北陸新幹線が「整備新幹線」の1つとして決定したのは1973年のこと。杉本知事の「半世紀」発言は決して大げさではありません。