理系大学付属校に人気が集まった2024年度の中学入試(東京・湯島天神)

 中学入試が終わると、どのようなカテゴリーに属する学校が人気だったかという分析を行うが、2024年度入試は「理系大学の付属」に人気が集まった。なぜそうした学校が志望されたのか、その理由と個々の学校の魅力について探った。

>>【表】続々と新設される大学の理工系学部一覧ほか

政府も経済界も大学もみな理系に関心が向いている

 新聞の購読部数は年々減少しているが、こと中学受験の家庭では購読率は上昇する。近年の中学入試の問題は時事問題を出題することが多いからである。その対策で新聞を熱心に読み、テレビのニュースをよく見るようになるので、必然的に中学受験の保護者は一般の人たちより数倍も社会の動きや時代の変化に敏感になる。

「日本のデジタル化は先進国の中で周回遅れ」「IT人材が70万人も不足する」「台湾の半導体受託製造企業TSMCの誘致で熊本は大変な騒ぎになっている」……日々そんな情報を見聞きしている。

 つい最近のニュース番組では、「文系と理系では生涯賃金が4000万円も違う」と報道されていた。保護者がわが子を理系に進ませておいたほうがいい、と考えるようになる理由のひとつは、こうした社会の動きを反映していると言ってもいいだろう。

 政府が地方創生政策の一環で、東京23区内の大学定員の厳格化、学部・学科の新設を認めないという方針を出したことは記憶に新しい。だがその後、「失われた30年」を克服するには、いま一度科学技術立国の原点に立ち返らなければならないと理系人材の養成にかじを切り、農理工系分野に限り新設を認めるという大転換を図った。

 深刻な少子化時代を迎えて経営が厳しくなると考えていた大学は、早速この方針に飛びついた。別掲の【表1】は首都圏における2023年度以降に新設された(される)理工系の学部である。ここに挙げた以外の大学でも理工系学部の新設はあるので、まさに急増と言える。


拡大画像表示

 高2で理系を選択しても、大学での受け入れ枠がこれだけ拡大するということだ。ここまで知っている保護者は多くないかもしれないが、政府も経済界も大学もみな理系に関心が向いていることは報道などを通じて感じているだろう。