時代に合わせて学びをアップデートしている人気校
では2024年度の中学入試ではどうだったのだろうか。農理工系大学の付属について応募者数を前年と比べてみた(【表2】参照)。
農理工系大学の付属ということで括っているが、実際に併設大学に半数近くが進んでいるのは芝浦工業大学附属のみで、東京電機大学、日本工業大学駒場、芝浦工業大学柏などは併設大学が離れた立地ということもあり、他大学進学者のほうが圧倒的に多い。

つまり、併設大学への進学ありきではなく、サイエンス教育の内容がすぐれている、理科関係の施設が充実している、理系教員がそろっているなど、教育内容面で選んでいると考えたほうがいいだろう。ここがこれらの学校が志望されていることのポイントである。
全体には受験者数が微減とされる今年度の入試だが、やはり農理工系大学の付属は増えている学校が多かった。東京都市大学付属は減らしたが、それでも3144名と男子校で応募者数ナンバーワンの座は維持していた。
ここで、大きく増やした東京農業大学第一と芝浦工業大学附属について学校の中身を見ていこう。
■東京農業大学第一(東京都世田谷区)
正式名称は東京農業大学第一高等学校中等部。中等部の開校は2005年と新しい。それだけに最初から現在の教育方針である「実物・本物にふれる、体験・経験する、考え実行する」を実践してきた。これは同時に東京農業大学の「実学教育」につながるものでもある。


2025年には高校募集を停止して完全中高一貫体制になることが決まっているが、それが人気の大きな要因でもある。
中学受験の保護者にとっては高入生がいないことでカリキュラムが一本化されること、公立中学校出身者がいないことで足踏みせずに先取りがしやすい環境になることなどが歓迎される。そして、2025年には新校舎も完成する。こうした大きな分かりやすい変化があることが応募者の大幅増につながっている。

入試においても、後発組ということもあってこれまで第1回、第2回とも午後に入試を行ってきたが、2025年には2月1日午前に4教科で参入する(これまで第1回、第2回は算数・理科または算数・国語のどちらかを選択)。
このように学校がダイナミックに動いていることで多くのマスコミに取り上げられ、知名度もアップしている。そして、存在を知って訪れてみると、緑豊かな環境、これからの時代にマッチした教育内容であることが分かり、ますます支持が広がるという好循環が起きている。
