将来的には女子の増加が見込める理由
さて、農理工系付属の男女比はどうなっているのだろうか。
2024年度入試で女子のほうが応募者が多かったのは東京農業大学第一だけで、男子1292名に対し女子1396名だった。その他は芝浦工業大学附属は男子1011名に対し女子358名、東京電機大学は男子1269名に対し女子306名、日本工業大学駒場は男子1851名に対し女子336名、芝浦工業大学柏は男子1571名に対し女子746名だった。
ちなみに、2024年度の入学予定者数に占める女子比率を各校に問い合わせてみたところ、東京農業大学第一が54.9%と女子が上回っている以外は、東京電機大学が35.2%、芝浦工業大学附属が32.1%と約3分の1、日本工業大学駒場はずっと低く17.0%だった。
こうして見ると現状はまだ女子が少ないが、先の【表1】にもあるように、お茶の水女子大学、共立女子大学、日本女子大学、大妻女子大学など女子大でも続々と理系学部が誕生する。
そのうえ入試において女子枠を設ける大学が年々増えていく。例えば、東京工業大学、東京理科大学、東京都市大学が主に総合型選抜において設定するなど、理工系大学ほど女子の入学を歓迎しているのだ。
共学校の先生に話を聞くと、「男子は漠然と難関大学を目指すが、女子は生涯働いていくにはどのような学部・学科を選んだらいいかをじっくりと考えて決める傾向が強い」という。そうした傾向が強まれば、今回取り上げた農理工系大学付属校の応募者はさらに増え、大学でバイオ系や理工系を選ぶ女子も間違いなく増えていくだろう。
【安田理(やすだ・おさむ)】
安田教育研究所代表。東京都出身。大手出版社にて雑誌の編集長を務めた後、教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年に安田教育研究所を設立。教職員研修・講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。各種新聞・雑誌、ウエブサイトにコラムを連載中。