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「なぜそれができない?」「なぜそういうことをしてしまう?」――想像を超える行動パターンを示す“今イチ使えない人材”が職場にいないだろうか。そういう人たちの深層心理を理解し、改善策を採るにはどうすればいいか。『「指示通り」ができない人たち』を執筆した、心理学博士の著者とともに考える。(JBpress編集部)

(榎本博明:MP人間科学研究所代表、心理学博士)

※本稿は『「指示通り」ができない人たち』(榎本博明著、日経BP 日本経済新聞出版)より一部抜粋・再編集したものです。

「取引先を訪問して、相手方が何を求めているのかをつかんでくるように指示しても、話を聞くと先方が何を望んでいるのかがまったくわからない。そもそも彼が何を言おうとしているのかがよくわからない」

 職場にありがちな“今イチ使えない人材”を前にして、どうしたらよいのかわからず、途方に暮れることがないだろうか。自分の想像を超える行動パターンを示す人について、なぜそうなるのか、その心理メカニズムがまったくわからず、処遇に困ることがあるかもしれない。

 そして、いくらわかりやすく、論理立てて説明したつもりでも納得してもらえなかったりする。

 このような事例は、認知能力の問題、メタ認知能力の問題、非認知能力の問題、のおおまかに3つの問題に分けることができる。

 冒頭の例は認知能力の問題と考えられる。このような今イチな人材にみられる問題点とその改善策を見ていこう。

言われたとおりにパソコン入力ができない

 指示通りに動くことすらできない従業員に頭を悩ます経営者がいる。

「指示待ち人間がいて困るって嘆く経営者仲間がいるんですけど、私からしたら、指示通りに動いてくれるんならいいじゃないかって思いますよ。こっちはいくら注意しても指示通りに仕事をしてくれない従業員に手を焼いてるんですから」

『指示通りに動いてくれるんなら、まだマシじゃないかと』

「ええ、そうですよ。それも複数いますから。事務職の人物に、言われた通りにパソコン入力することができないのがいるんですよ」

『パソコンが苦手というわけではなくて、指示通りの入力ができない、ということですか?』