「パソコンが苦手、っていうより、顧客ごとに用件が記してある書類の分類ができない、っていう感じです」
『書類の分類ができない』
「具体的に言うとややこしくなるんで、大雑把な言い方をしますと、たとえば面会予約の用件はA欄に入力する、商品の発注の用件はB欄に入力する、商品に対する問い合わせの用件はC欄に入力する、っていう感じに用件の内容で分類して入力する、っていうのがうまくできないんです。しょっちゅう間違えてるんですよ」
『書類の分類ができないというのは、言ってみればシステム思考ができないんですね』
「そうですね。頭の中がぐちゃぐちゃなんです。何とかならないものですかね」
『頭の中を整理する方法を工夫する必要がありそうですね』
「できそうですか? あと営業職の人物にも頭の中がぐちゃぐちゃなのがいるんです」
相手の話の要点をつかめない
『営業職にもですか。具体的にはどんな感じなんですか?』
「たとえば、取引先を訪問して、相手方が何を求めているのかをつかんできてほしい、価格とか性能とかいろいろあると思うけど、どんな点をとくに重視しているのか、探りを入れてきてほしい。そんなふうに伝えて行かせるんです」
『取引先の要望、どんな点にこだわっているかとかを聞き出してくるように頼んだということですね』
「そうです。それで取引先の担当者と面談して帰ってきて、『どうだった?』と言って話を聞くんですけど、結局、先方が何を望んでいるのか、どんな点にこだわっているのか、まったくわからないんです。そもそも彼が何を言おうとしているのかがよくわからない。それでメモを見せてもらったんです」
『口頭での説明を聞いてもよくわからないから、メモを見せてもらったわけですね』
「ええ。それでメモを見ながら説明を再度聞いたんですけど、まったくわかりませんでした。メモを見ても、先方が何を望んでいるのか、どんな点にこだわっているのかに見当をつけるためのヒントが見あたらないんです」