(フォトグラファー:橋本 昇)
正月明けに故田中角栄元首相の邸宅、通称「目白御殿」が火災で焼失した。
娘で元衆議院議員の田中眞紀子さんは「お見舞いよりも早く能登半島地震の対策を」と相変わらず気丈なご様子だというが、昭和の政治の重要な舞台でもあった目白御殿の焼失というニュースに、あの昭和の時代がまた遠くなったという感慨を覚える。
ダミ声で、妙に説得力があった角栄氏の演説
田中角栄は戦後昭和の政治史に良くも悪くも大きな足跡を残した。
たとえば極貧家庭に生まれて学業も続けられなかったが、新潟から上京し頭の良さと努力で政治家になり総理大臣にまで上り詰めたこと。「日本列島改造論」をぶち上げ、次々と国土を掘り返していったこと。日中国交正常化を成し遂げたこと。金を集め配りまくる金権政治の象徴となったこと。あげくにロッキード事件の収賄容疑で逮捕され実刑判決を受けたこと。
角栄の足跡はそれだけではない。逮捕を受けて自民党を離党した後も選挙では圧倒的な支持を集めて当選を続け、最大派閥田中派を率いる「闇将軍」として自民党内で圧倒的な権力を持ち続けた。とにかくスケールが大きい。