「2023年報道写真展」を訪れ、カメラを手に笑顔の岸田首相=12月20日、東京都中央区の日本橋三越本店(写真:共同通信社)「2023年報道写真展」を訪れ、カメラを手に笑顔の岸田首相=12月20日、東京都中央区の日本橋三越本店(写真:共同通信社)

 自民党安倍派(清和政策研究会)をはじめとする派閥の政治資金「裏金」問題で、永田町は大混乱に陥っている。東京地検特捜部の動きは加速しており、2024年以降も、この騒動はしばらく続くだろう。一見すると、リクルート事件以来といわれる大型事案なだけに、岸田文雄内閣は近い将来政権運営に行き詰まり、新たな内閣が発足するように思える。

 だが残念ながら(?)、現在の永田町をみる限り、岸田政権は継続する公算が大きい。国民の負担増に焦点を絞った政策だけを打ち出している悪夢の日本政治を誰も止めることができないのか――。

森内閣の支持率に比べれば岸田内閣はまだ余裕

 特捜部の捜査進展に伴い、内閣支持率は今後もさらに低下していくのは間違いないだろう。留意すべきは、世論が支持しなくても、政権は崩壊しないという厳しい現実だ。

 例えばNHKの世論調査で見ると、森喜朗内閣は2000年6月に内閣支持率17%を記録したが、その後約10カ月間も政権は継続した(最終的に内閣支持率7%を記録!)。この間、有名な「加藤の乱」が起こるなど紆余曲折があったが、当時の執行部は鎮圧に成功している。

2000年6月25日に投開票が行われた衆議院議員選挙の開票速報を見る森喜朗首相。自民党の票が伸びず、表情も曇りがちだった(写真:共同通信社)2000年6月25日に投開票が行われた衆議院議員選挙の開票速報を見る森喜朗首相(当時)。自民党の票が伸びず、表情も曇りがちだった(写真:共同通信社)

 同じNHKの世論調査によると、岸田内閣の支持率はまだ23%(12月)もあるので余裕がある。民主主義国家とはいえ、一度築かれた政権はそう簡単には壊れない。内閣不信任決議可決があり得ないうえ、補欠選挙以外の大型国政選挙もしばらくない。岸田首相自らが辞意を決意しない限り、政権は少なくとも来年9月の自民党総裁選まで持ちこたえる。