1月31日、衆議院予算委員会での岸田文雄首相。後藤茂之厚労相の話に耳を傾けている(写真:つのだよしお/アフロ)

 岸田文雄首相が2月17日、1カ月半ぶりに記者会見を開いた。昨年8月26日、岸田首相は自民党総裁選への出馬表明記者会見で「国民の協力や納得を得るための言葉が大切だ」と力説し、その後も「丁寧に説明する」と口癖のように繰り返してきたが、その「有言“不実行”」ぶりには驚くしかない。

 さて、官僚が書いた答弁を菅義偉前首相よりもうまく読むだけで高い内閣支持率を維持し、世論から好感を持たれてきた岸田首相もさすがに危なくなってきたようだ。政権崩壊の予兆がある。

噴出した自民党京都府連の「選挙買収」疑惑

 2月10日発売の「文藝春秋」に興味深い記事が掲載された。自民党京都府連(会長・西田昌司参院議員)が国政選挙に際し、候補者から寄付を集めて、それを原資に地方議員へ現金を配っていたという内容だ。京都府連の資金の流れについては「マネーロンダリング」と記された文書も存在しているようだ。

 この文藝春秋の記事をめぐっては、現時点で政府も自民党も「違法ではない」と平静を装っている。当事者として名指しされている西田氏は動画等で「全くの間違い」と強く抗議し、訂正を求めている。双方の言い分があるのでこれ以上は深入りしないが、筆者の元には捜査当局が関心を寄せているとの情報も入ってきている。可能性としては低いが、参院選が想定されている7月10日までに事件化するようなことがあれば、岸田政権へのダメージは計り知れない。