岸田文雄首相(写真:つのだよしお/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 私は、3回目のワクチン接種を2月3日に受けた。2回目の接種が終わったのが昨年の6月28日であるから、7カ月以上が経過している。私の住む世田谷区から接種券が届いたのが1月28日、ちょうど7カ月目である。1、2回の接種のときは電話でもネットでも連絡がとれずに予約に手間取ったので、郵便が届くやいなやパソコンでネット予約した。おかげで早めの予約ができたのである。

3回目のワクチン接種の遅れ

 この「舛添直言」でも、すでに昨年の10月23日には「感染者減でもブースター接種を急がねばならない理由」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67443)というタイトルで追加接種の必要性を説いている。しかし、政府は動かず、マスコミも声を上げなかった。

 その後も、11月20日には「海外で感染急増なのに岸田内閣の支離滅裂コロナ対策」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67794)、12月4日には「オミクロン株上陸なのになぜ3回目接種を急がぬのか」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67967)、1月8日には「オミクロン急拡大、抑え込めねば前政権と『同じ轍』」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68362)と警鐘を鳴らし続けたが、無駄であった。

 そして、やっと今頃になって、国会でも3回目のワクチン接種が遅れていることが大問題となっている。しかし、遅すぎる。10月の私の警告を受けてすぐに対応していれば、感染が少ない時期に追加接種を行い、国民の安心感も増していたであろう。

 ワクチンの在庫がなければ、緊急輸入すべきであるが、そもそも在庫量がどれくらいあるのかを国民に知らせないし、マスコミもそれを問わないし、報道もしない。このコロナ禍の2年間、マスコミの機能低下は嘆かわしい状態である。大日本帝国大本営発表を垂れ流している感じで、国民が知りたいことを調べず、知るべきことを伝えもしない。

 ファイザーのワクチンに人気が集まって、モデルナのワクチンが余っているというが、交差(交互)接種のほうがむしろ効果があることは海外のデータで実証されている。メルケル独首相は、1回目にファイザー、2回目にアストラゼネカのワクチンを接種し、世界中に交差接種の安全性と有効性を発信している。