因みに、WHOや米CDCは、まだ感染の収束にはほど遠く、規制緩和は慎重であるべきだと警告している。また、オミクロン株も従来のBA.1に加えて、新たにBA.2がインドやデンマークで確認されており、その症状と推移にも注意せねばならない。

無意味な水際対策

 市中感染が拡大し、1日の感染者が9万人を超える状況では、水際対策は無意味である。しかし、日本政府は海外との人的交流を制限し、鎖国状態を続けている。

 たとえば、来日できない留学生が14万7000人に上る。1月30日に一部入国が認められたが、その数はわずか87人である。日本の国益を考えれば、これは得策ではない。そうでなくても、海外では英語圏への留学を希望する若者が増えており、将来の日本の良き理解者となってくれる留学生に辛い思いをさせる状況は早期に打開すべきである。

 水際対策の解除も後手後手になっている。先手先手で困難な事態を打開するリーダーシップを官僚に求めるのは無理である。政治家の指導力が問われている。岸田首相は、調整型、調和型な温厚な姿勢を変え、強力なリーダーシップを振るわねばならない。