(舛添 要一:国際政治学者)
ウクライナをめぐるロシアとアメリカなど西側との対立が続き、一触即発の緊張状態となっている。
ロシアはウクライナ国境地帯に13万人の部隊を集結させている。さらにウクライナの北の隣国で親露派のルカシェンコ大統領に率いられるベラルーシで、同国軍との共同演習を展開しているばかりか、2014年に併合したクリミア半島でも軍事力を増強している。
ロシアの海軍も動いている。大型揚陸艦などを黒海に終結し、クリミア半島に兵士を上陸させる準備を整えつつある。さらに空軍も、ウクライナ空爆のシナリオを準備しているという。
仲裁に積極的に動くフランスやドイツ
これに対して、ウクライナ支援に乗り出したアメリカやNATOは、東欧諸国に支援部隊を増派したり、黒海に軍艦を向かわせたりしている。というのも、アメリカの情報機関は、東部国境、ベラルーシ、クリミア半島、つまり東部、北部、南部からロシアのウクライナ侵攻が行われれば、ロシアは2日間で首都キエフを制圧できると分析しており、その準備は8割方終わっていると見ているからだ。
このような緊迫化した状況を前に、フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相が調停外交に乗り出している。両首脳は、精力的にロシア、アメリカ、ウクライナのリーダーと協議し、解決策を見出そうとしている。