(舛添 要一:国際政治学者)
新型コロナウイルス、とりわけオミクロン株の流行に伴う感染の急拡大(第6波)は、2月上旬にピークアウトしたようであるが、医療の現場や高齢者施設での大混乱は収まっていない。高齢者の感染が増え、それに伴って高齢者の死者数も増加している。
死者数は、第5波(2021年6月30日〜10月5日)のときは、80歳代が36%、90歳以上が12%だったのに対し、第6波(2022年1月5日〜2月8日)では、80歳代が37%、90歳以上が34%となっている。
高齢者の死者数が増えている理由
1日当たりの全国の死者数(1週間平均)は163人と、過去最多の水準である。2月17日には死者数は271人と、これも過去最多になった。感染者数全体が急増しているので、死者数も増えるのは当然と言ってもよいが、オミクロン株では重症化しないとされてきたはずだ。
死者が増加しているのは、デルタ株が引き起こした肺炎などではなく、オミクロン株感染によって基礎疾患など他の病気が悪化し死亡するケースが増えているからだ。それで、80歳代、90歳以上の死者の比率が増加しているのである。
また、感染者の急増で、救急車を呼んでも搬送先が決まるまでに数時間かかったり、何十kmも離れた病院に頼るしかなかったりと、医療崩壊状態が死者数を増やしていることも忘れてはならない。
先々週に、このコラムで岸田政権のコロナ対応の問題点を指摘した(「高支持率で慢心、コロナ対策で不手際だらけ岸田政権:ワクチン、検査キット、経口治療薬・・・ないないづくしの日本」、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68746)が、政府はやっと重い腰を上げ始めた。
しかし、すべてが後手後手であることは否めず、迅速な政策変更が不可欠である。問題は、オミクロン株のウイルス特性に合わせた対応への切り替えができていないことである。