型式認証が取り消されれば生産再開は果てしなく遠のく
4月28日に内部告発で露見した、東南アジア向け車両に端を発したダイハツ工業の型式認証不正問題。それから8カ月近くが経った12月20日、ダイハツは全モデルの出荷停止に踏み切った。
同日公表された第三者委員会の報告書によれば、国内の28モデルをはじめ、現行車種のすべてで不正が認められたという。このスキャンダルは軽・小型車戦略をダイハツに依存する親会社のトヨタ自動車にとっても最悪のシナリオとなった。
型式認証とは国土交通省からそのモデルを大量生産していいですよという許可を受けるためのもの。同じ構造のものを決まった工法で作れば1台1台安全性や環境性能を審査しなくても問題は起こらないという考え方に基づく制度で、世界で広く採用されている。
いったん認証を取ってしまえば自動車メーカーとしてはこんなに楽なものはないが、それを取得するのは大変なこと。安全性や環境負荷に関して山のようにチェックを受けなければならない。
そのチェックのうち国交省の審査官の立ち合いがない社内試験の項目で、ダイハツは衝突試験の結果が良く出るよう内装に量産と異なる加工をしたりデータを改ざんしたり、はたまた測定条件をすり替えたりといった不正が全モデルにあり、不正の件数は判明したものだけで174件にのぼった――ということが調査結果として示された。
道路運送車両法では、不正な手段で得た認証は取り消すことができるとある。もし認証が取り消されでもしたら、そのモデルの生産再開は果てしなく遠のく。そのこともあってか、記者会見で奥平総一郎・ダイハツ社長は「クルマがちゃんと出来ていれば合格して当たり前と考えていた。認証を軽視していたと言われても仕方がない」と、ひたすら低姿勢を貫いた。