5月23日に発表された「自動車アセスメント(2022年度)」評価結果(写真中央はノア/ヴォクシーが大賞に選ばれたトヨタ自動車チーフエンジニアの黒柳輝治氏)

(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)

毎年行われる「自動車アセスメント」とは?

 交通事故の発生抑止や被害者支援を目的とする独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)は5月23日、2022年度に行った「自動車アセスメント」において、最高賞であるファイブスター(5つ星)大賞モデルにトヨタ自動車のミニバン「ノア」/「ヴォクシー」を選出したと発表した。

「自動車アセスメント」最高賞のファイブスター大賞モデルに選ばれたトヨタ「ヴォクシー」(写真提供:NASVA)

 折しもダイハツ工業が小型SUV「ロッキー」/「ライズ」(トヨタへのOEM供給モデル)の受動安全性審査で不正を行ったというニュースが駆け巡る中での発表だっただけに、結果への関心もより高まったことだろう。

 この自動車アセスメントとはどういうものなのか。同機構が毎年度行っているテストで、実際にクルマを衝突させたり衝突被害軽減ブレーキの精度をみたりする「JNCAP」というテストの数値を総合評価したもの。満点は199点で、内訳は歩行者傷害を含めた衝突安全が100点、衝突軽減ブレーキおよび先進運転システムの予防安全が91点、事故時の緊急通報システムの有無が8点。

 実車を使った衝突試験には前面フルラップ(完全な正面衝突を想定)、前面オフセット(クルマの前面の一部が衝突することを想定)、側面衝突があり、それを審査するのに新車が3台は必要というなかなかコストのかかる試験である。

 予算の関係からすべての新型車をテストするわけにいかず、「販売台数の多いクルマが中心」(NASVA関係者)にならざるを得ないという。ほか、NASVAにピックアップされずとも自動車メーカー側からの委託で試験されることもあり、それも自動車アセスメントにノミネートされる。

 ファイブスター大賞は2020年度、2021年度と2年連続でスバルが獲得していたが、今回はトヨタが奪還。安全性に関して最もトータルバランスに優れていると評価されたことで、ノア/ヴォクシーの販売にプラスに作用するのは間違いないところだろう。