こども家庭庁の有識者会議(写真:共同通信社)

学習塾や個人経営の教室はワンランク緩やかな対象に

 ジャニーズ事務所を舞台にした性加害問題で、大人による子どもたちへの性加害、性犯罪問題が連日クローズアップされている。

 そうしたなか、子どもと接する職業に就く人に性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」の創設に向けて、政府(こども家庭庁の有識者会議)が制度の大枠を示した。秋の臨時国会で法案を提出する見通しだ。長らく放置されてきた課題の一つがようやく国会で審議されることになったが、この制度だけで子どもへの性犯罪が根絶されるわけではない。

長らく放置されてきたジャニーズ事務所の性加害問題(写真:REX/アフロ)

 こども家庭庁は英国のDBSを参考に、刑事法や民法、児童心理の専門家らの有識者会議を6月に立ち上げ、制度設計を行ってきた。日本版DBSは、子どもに接する職種の事業者が従業員の性犯罪歴をデータベースを使って確認し、問題がある場合には就労に制限をかける措置を求める仕組みだ。

 有識者会議は6月以降、全5回開催され、9月5日に報告書(案)が示された。最大のポイントは制度適用の義務化となる職種の範囲である。報告書はこう記している。

〈こどもの安全確保のための責務等を法律によって直接義務付ける事業者として、例えば、学校、認定こども園や保育所、児童養護施設、障害児入所施設を設置する者、又は家庭的保育事業等を行う者といったものが考えられる〉

 これは当然だろう。では、多くの子どもたちが通う学習塾やスイミングスクールなどはどういった扱いになるのだろうか。最近も四谷大塚の盗撮講師が逮捕されるという事件があったばかりである。再び報告書の記述を見てみよう。

〈学習塾のほか、予備校、こども向けスイミングクラブ、技芸等を身に付けさせる養成所など、こどもに対して知識や技芸等を教授する事業であって、支配性、継続性、必要な安全措置をとることができる体制等が認められるものを認定対象に含めるべきである〉

 学習塾などは義務化ではなく、認定制というワンランク緩やかな対象となっている。

 報告書では学習塾などについて〈事業者が利用者のニーズに応えるために積極的に認定を受けて適切に措置を講じるよう努める事業環境を創出する必要がある〉としている。努力義務のようなものか。そうなると大手は企業イメージを優先させるために積極的に認定を受けるだろうが、小規模な学習塾などは適切な事業環境を創出する負担を避け、認定を受けないところが出てくる可能性が十分ある。

 そもそも個人経営のピアノ教室や書道教室などは、事業主が自身の性犯罪歴情報を確認することは、個人情報保護法第124条の趣旨に抵触するおそれがあるため、この制度の対象となるのは困難だという。つまり、結果的にさまざまな事業者が対象から外れる「抜け穴」となりかねないということだ。