中古車の対ロ輸出規制で「毎日1億円失う」?
ロシアのウクライナ侵攻から1年半以上が過ぎ、泥沼の状況が続いている。米国、EUなど西側各国は、ウクライナ支援とともにロシアに厳しい経済制裁を実施してきたが、ロシア経済はいまだにぐらつく気配がない。
ルーブルは下落しているものの原油高、軍需物資を中心とする特需などで2023年の国内経済見通しはプラス成長だという。そんなロシア経済と密接な関係にある日本。農林水産物、輸送機器など経済制裁の間隙をつく形で、侵攻前同様の取引が続いている「キラーコンテンツ」も少なくない。最新事情を検証した。
まずは日ロ貿易の最新状況をチェックしよう。2023年上半期のデータによると、輸出は2399億800万円で前年同期比17.0%減、輸入は5668億5600万円で同48.2%減と、輸出入ともに大幅に減少し、3269億4800万円の貿易赤字となっている。それ以降、7月は輸出が25%増、輸入は69.6%減、8月は輸出57.6%減、輸入62.5%減と、急速に縮小傾向にある。
こうしたなか、企業活動はどう変化しているのか。
帝国データバンクの「日本企業の『ロシア貿易』状況調査」によると、在ロシア企業と直接取引(貿易)をしている日本企業は295社(2023年3月現在)。この295社と直接・間接に取引がある企業1万633社。計1万928社がロシアビジネスにかかわっている。前年同期に比べると4359社、28.5%減少した。ロシアビジネスの縮小傾向が、企業レベルでもうかがえる。
全般に縮み傾向にある対ロビジネスだが、例外も少なくない。その筆頭が中古車輸出だ。
2023年1─8月の中古車輸出台数は16万3487台で、輸出金額は1906億1327万円。これは前年同期(11万2128台、1143億9715万円)を大きく上回っている。金額ベースでは1.67倍である。
もっとも、中古車を含む自動車は今年8月から経済制裁内容が大幅に強化されたため、今後は減少していくだろうが、中古車輸出の矛盾が散々指摘されながらも、この夏まで取引規模はどんどん膨らんでいたのである。
今回の制裁内容強化についてロシアメディアは「日本、自動車の対ロ輸出規制で毎日1億円失う」と、制裁強化はむしろ日本側にとって打撃になると指摘している。