(国際ジャーナリスト・木村正人)
繰り返す世界秩序のサイクル
[ロンドン発]近著『世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか』で成長、繁栄からバブル崩壊、格差拡大、ポピュリズム台頭、不況、戦争という世界秩序のサイクルを指摘した米ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏が12日、LinkedInに「私たちは新たな世界大戦に近づいている」と投稿した。
「イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの戦争がどこまで広がるのか。長期的に大国が平和のための勢力となるのか、それとも巻き込まれるのか。私たちは間もなく明らかになる非常に重大な岐路に立たされている。私たちが目の当たりにしている恐ろしく悲劇的な映像が自制を促してくれることを願っている」(ダリオ氏)
過去500年の主要な帝国と通貨の盛衰を分析したダリオ氏は「この戦争はさまざまな場所でさまざまなタイプの紛争を引き起こす危険性が高く、イスラエルとガザだけにとどまらない。近著を発表して以来、この2年間で大国を巻き込んだ収束しない世界大戦へと移行する危険性は35%から50%前後に上昇したように見える」と大胆に予測する。
「中東とウクライナで起きた戦争は直接の当事者だけでなく、新たな世界秩序を形成するための大国間の対立の一部であり、無関係のように見える2つの戦争に参加する4つの側の同盟国や敵対国に大きな影響を与える。2つの戦争は、これらの国々に多くの犠牲を強いるだろう。戦争は予想通りには進まないし、予想以上に残酷だ」と警戒する。