(国際ジャーナリスト・木村正人)
第四次中東戦争から50年の節目に
[ロンドン発]
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが10月7日、イスラエルに向けてロケット弾を発射し、沿岸部アシュケロンの病院などに命中した。発射されたロケット弾は2200発(イスラエル国防軍発表)~5000発以上(ハマス発表)とみられている。ハマス戦闘員はイスラエル側に越境し住民を銃撃し、150人を人質に取った。
死者はイスラエル900人以上、ガザ687人にのぼり、1500人を超えた。
米紙ニューヨーク・タイムズなど現地からの報道によると、数百人のハマス戦闘員がガザとイスラエルの間にあるバリケードをブルドーザーで突破。日の出のクライマックスを迎えていた音楽イベントを攻撃し、約260人の参加者を殺害した。イスラエル女性がバイクに乗せられて連れ去られ、ボーイフレンドが強制的に歩かされている動画も拡散している。
ハマス戦闘員がハンググライダーのようなものでイスラエル側に舞い降りる動画もある。イスラエルとエジプト・シリアなどアラブ諸国の間で勃発した第四次中東戦争から10月6日でちょうど50年。世界最強とされる防空システム「アイアン・ドーム」や情報機関に守られているイスラエルは50年前と同様、不意をつかれた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「わが国は戦争状態にある。これは軍事作戦でも戦闘でもなく、戦争だ。敵は前例のない代償を払うことになる。われわれは勝利する」と宣言。ロイド・オースティン米国防長官は「イスラエルが自国を防衛し、無差別暴力やテロから市民を守るために必要なものを確保できるよう取り組む」と支援を表明した。