- イスラム組織「ハマス」が10月7日に始めたイスラエルの大規模攻撃により、両地域では一般市民を巻き込み激しい暴力の応酬が続いている。
- ハマスによって拉致・暴行されたとみられるドイツ人女性の映像がSNSで拡散され、英国では彼女の安否について大きく報じられている。
- 日本ではテロ組織との戦いを題材にしたドラマ「VIVANT」が大ヒットした。そこでのテロの描かれ方に感じた違和感とは。
(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)
イスラム組織「ハマス」が10月7日に開始したイスラエルへの「前例のない」大規模攻撃により、同地域では再び暴力の応酬が続いている。報道によればパレスチナ自治区・ガザより数千発に及ぶロケット弾が発せられ、イスラエル側に越境した戦闘員が自動小銃を乱射したり市民を拉致したりするなどして、これまでに少なくとも700人が死亡したと伝えられている(英国時間8日深夜時点)。
一方、英高級紙ガーディアンによれば、この攻撃に対し空爆で応じたイスラエルの攻撃により、ガザの死者は400人近くに上っている。同紙は見出しに「イスラエル・ハマス戦争」と掲げている*1。
*1:Israel-Hamas war live: 260 bodies recovered from music festival, says Israeli rescue service(10月9日付、英ガーディアン)
英国の各メディアは8日、大規模な戦闘の様子のみならず、ハマスによって拉致、暴行されたと見られるドイツ人女性の安否についても大きく報じた。報道によるとこの女性はドイツとイスラエルの二重国籍で、ガザに近いイスラエル側の音楽フェスティバルに参加していたところ、ハマスに拉致されたと見られている。イスラエルの救助隊はその後同フェスティバルで、少なくとも260人が死亡と発表している*2。
*2:German festival-goer identified as young woman whose naked body was paraded by Hamas(10月8日付、英テレグラフ)
この女性が意識不明と見られるほぼ裸体の状態でトラックの荷台に乗せられ、その頭につばを吐きかけ「神は偉大なり」などと叫び、女性をさらし者にするかのように振る舞う武装勢力の動画がSNSで拡散。女性の母親がこの動画を見たとし、娘に関する安否の情報提供を訴えている。動画にはうつ伏せ状態の女性の裸体の上に、武装勢力が足を伸ばして座っている様子が映っている。女性の足は不自然な角度で曲がってもいる。
家族は荷台に乗せられた裸体の足に、行方不明となっている女性のものと同じタトゥーが施されていることと、特徴的なドレッドヘアにより人物を特定したという。英タブロイドの中には女性は暴行された上、既に殺害されたと報じているところもある。テレグラフ紙はこの動画が「憂慮に堪えない」とし、掲載していない。