BBCは10月9日、「英国史上最悪」とされるセレブ性加害者ジミー・サヴィルの半生を描いたドラマを放映し始めた(写真:AP/アフロ)
  • 英公共放送のBBCが「英国史上最悪」とも言われるセレブ性加害者ジミー・サヴィルの半生を描いたドラマ(全4話)の放映を始めた。
  • 制作当初から、被害者の苦悩をよみがえらせるといった批判や、「ドラマ」というエンターテインメントの手法でサヴィルを描くことの是非について議論を巻き起こしてきた。
  • 「二度と被害を繰り返してほしくない」という被害者の声を届ける意図もあるそうだが、日本ではジャニー喜多川の半生を描くドラマを制作するようなことは可能だろうか。

(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)

 10月9日、英国史上「前例を見ない」と言われた最悪のセレブ性加害者、ジミー・サヴィルを描いたドラマの第1話がBBCで放送された。タイトルは「The Reckoning (報い・罰などを意味する)」。全4話を2週にわたって放送する*1

*1BBCの「The Reckoning」の公式サイト

 サヴィルが国民的大物タレントとなる以前から近所の警察官を懐柔する様子や、BBCの司会者として名声を得たのちに時の首相など権力者にすり寄ってその力を拡大していく様が描かれている。

 サヴィルは病院などでの慈善事業や、弱い立場の人たちに多額の募金を募った功績などにより、大英帝国勲章やナイトの称号まで授けられた。同時に、エンターテインメント界の大物に上り詰める過程で早くからその立場を利用し、主に少女や少年、死者にさえ性加害を繰り返した様子が浮き彫りとなっている*2

*2ジャニーズ問題報じたBBCも過去に大物の性加害疑惑を「見ぬふり」、教訓は?(9月12日付、JBpress)

 かつて英国で最も影響力のある司会者として絶大な力を有していた大物タレントが、その異常な性への執着をあちこちで噂されていたにもかかわらず、公共放送であるBBCがそれを黙殺して起用し続けた。

 このことは、ジャニー喜多川の性加害が長年噂され、裁判にまで発展したにもかかわらず日本のメディアが沈黙し、数十年の間に膨大な数の被害者を生み続けてしまった構図と酷似している。BBCでは控室やスタジオなどがサヴィルの性加害の現場にまでなっており、見て見ぬふりを決め込んだ同放送局の仕打ちは、極めて悪質だと言わざるを得ない。