- ジャニー喜多川氏による性加害問題が、ジャニーズ事務所だけではなく芸能界・テレビ業界全体の問題として捉えられ始めた。
- 英国ではジミー・サヴィル事件をきっかけに、社会的地位のある人物による性加害問題を専門に扱う部隊が警察内に立ち上がった。現在も1100人以上を捜査中という。
- 英国には性加害に公訴時効はない。日本でも被害者を救済するには、専門組織の立ち上げや時効の撤廃など制度を整備する必要がある。
(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)
収まる気配を見せないジャニーズ事務所による性加害問題。9月20日には、日本商工会議所の小林健会頭もがこの問題に言及した。私見と断ってはいるものの、この問題がジャニーズのものだけなのかを疑問視する発言をした*1。
*1:日商会頭、性加害は「ジャニーズだけなのか」 定例記者会見で(9月20日付、毎日新聞)
大手企業各社も同事務所所属タレントの広告起用について右往左往させられている。私見とはいえ小林氏から公に問題提起されたことは、ジャニーズ問題を芸能界における性加害全般の問題として捉え直すことができるか、極めて重要な局面に差しかかっていると言えるだろう。
小林氏は会見で「例えば未成年の女性に対する性加害が芸能界でなかったのか」と疑問を呈している。同氏は未成年者に対する性加害が「犯罪である」と強調。「他に泣いている人もいるのではないか。他でもあるのなら社会正義として救う必要がある」とまで踏み込んだ。
日本のエンターテインメント業界ではプレ・ティーン(主に9歳くらいから13歳=ティーンエイジャーまでの年代)の少女などが搾取されているのではないか、との疑惑がこれまで海外でしばしば報じられてきた。小林会頭はジャニーズ問題に絡み、ジャニー喜多川氏の性加害に沈黙してきたメディアの弊害も指摘している。報道各社は、この問いかけに答える責務を負うだろう。
英国で同様の性加害を数十年におよび行ってきた大物司会者、ジミー・サヴィルとそれを見逃していたBBCとの関係は既報の通りだ*2。また、人気コメディアンという立場を利用し、女性や少女に対する性暴力疑惑を持たれているラッセル・ブランド氏についても現在、英国で調査が進んでいる*3。
*2:ジャニーズ問題報じたBBCも過去に大物の性加害疑惑を「見ぬふり」、教訓は?(9月12日付、JBpress)
*3:英国で再び大物タレントの性加害疑惑、メディアも放置?ジャニーズと似た構図(9月20日付、JBpress)