「気まぐれ」と評されるイーロン・マスク氏。X(旧Twitter)の「ブロック機能」を廃止すると表明している(写真:ロイター/アフロ)
  • X(旧ツイッター)が、特定のアカウントからの連絡などを遮断できる「ブロック機能」を廃止すると表明してから1カ月が過ぎた。
  • その間にも、SNS上では誹謗中傷が世界中であふれかえり、英国では女子サッカー選手への「ヘイト」が大きな問題となっている(前編参照)。
  • SNSがコミュニケーションの主流となった今、誹謗中傷の防止はテック大手にも責任があるだろう。そして、私たちは自衛していくことも必要となる。

(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)

【前編】英国で過激化する女子サッカー選手へのヘイト、日本は「なでしこ」を守れるか

 米ソーシャルメディア大手「X(旧ツイッター)」を所有するイーロン・マスク氏が、同SNS上で「ブロック機能」を廃止すると突然発表してから1カ月が経った。同機能を使用すると、X上のアカウント間でメッセージを送ること、また投稿を閲覧することや、フォローを禁じることができる。

 本稿執筆現在(日本時間20日早朝)、アクセスしたXのヘルプセンターには同機能について「Twitter(原文ママ)の使い心地を自分でコントロールするための設定はさまざまありますが、ブロックもその1つです」と記載されている*1

*1:Xヘルプセンター「ブロックされた場合について

 X自体が上記で述べている通り、ブロックはSNS上で関わりを持ちたくない相手との間の防波堤となり「使い心地」を健全に保つための極めて重要な機能であるといえる。執拗な嫌がらせやネットいじめ、あるいはストーカー被害などを防止するためなどにも役立つだろう。SNSがなかった時代には不可能だった「他者の生活を見知らぬ相手が世界中のどこからでものぞき見できる」昨今、ソーシャルメディアを利用している限り、見えない脅威から身を守る術は必須だ。

 マスク氏は突然の廃止宣言をした理由について、ブロック機能には「意味がない」としている。今月評伝が世界で発売され、しばしばその動向や言動が注視される同氏だが、Xのブロック機能廃止のみならず、ツイッターのブランディングを突然変更するなど、何かと物議を醸している。