内閣不信任案が可決されたフランスのミシェル・バルニエ首相(写真:ロイター/アフロ)
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(国際ジャーナリスト・木村正人)

第5共和制になって最短の3カ月で内閣崩壊

[ロンドン発]仏国民議会(下院、577議席)は12月4日、社会保障財源法案を無投票で通したミシェル・バルニエ首相に対する内閣不信任決議案を左派連合と極右「国民連合」の賛成331票で可決した。バルニエ内閣は第5共和制(1958年~)になって最短の3カ月で崩壊した。

 極右が勢力を拡大するドイツでも3党連立政権が公共サービスや気候変動対策の財源を巡って崩壊、来年2月に総選挙が行われる。オーストリア国民議会やルーマニア大統領選でも極右が台頭しており、欧州政治の混迷は一段と深まっている。

 フランスで内閣不信任決議案が可決されたのは1962年、ジョルジュ・ポンピドゥー首相以来62年ぶり。この時はシャルル・ドゴール大統領が国民議会を解散して勝利し、ポンピドゥー氏が首相に再任された。エマニュエル・マクロン大統領は直ちに後継者を選ばなければならない。

 フランス政治がダッチロールに陥ったのは6月の欧州議会選で、脱悪魔化を進めたマリーヌ・ルペン氏の国民連合とエリック・ゼムール党首の「再征服」の極右勢力が過去最高の計約37%を獲得、マクロン氏が議会解散・総選挙に踏み切ったのがきっかけだ。が、賭けは裏目に出た。

バルニエ内閣の不信任案が可決される前日、サウジアラビアを訪問しムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談したマクロン大統領(提供:Saudi Press Agency/ロイター/アフロ)
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