(国際ジャーナリスト・木村正人)
先進国が途上国への資金を3倍の3000億ドルに
[ロンドン発]アゼルバイジャンの首都バクーでの国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は会期を2日間延長して24日未明、先進国が途上国への資金を従来の年1000億ドルから2035年までに3倍の3000億ドルにすることで合意して閉幕した。
小島嶼国や後発開発途上国は5000億ドルへの引き上げを強硬に主張し一時交渉から退席、気候交渉における南北対立の深まりを改めて浮き彫りにした。途上国への公的・民間資金を35年までに年1兆3000億ドルに拡大するため、すべての関係者が協力することも成果文書で謳った。
国際エネルギー機関(IEA)は世界のクリーンエネルギー投資が24年に初めて2兆ドルを超えると予測する。同条約(UNFCCC)のサイモン・スティル事務局長は「クリーンエネルギーブームを成長させ続け、すべての国がその大きな恩恵を分かち合えるようにする」と力を込めた。
COP29は「史上最低のCOP」と揶揄されるほど、交渉は遅々として進まなかった。米国ではドナルド・トランプ次期大統領の復活、欧州では地球温暖化懐疑主義を唱える極右勢力の台頭で先進国の発信力は低下した。「先進国」はもはや「衰退国」に落ちぶれてしまった感が漂う。