「化石燃料からの脱却はファンタジー」という批判キャンペーン
産油国アラブ首長国連邦(UAE)でのCOP28で「化石燃料からの脱却」で合意したものの、産油国の巻き返しは激しい。サイドイベントでノーベル平和賞受賞者(気候変動防止への貢献)のアル・ゴア元米副大統領は化石燃料利権が現在も影響力を持ち続けていると強調した。
ゴア氏は米国上院代表団の議長を務めた1992年のリオでのCOPゼロからCOP29までの道のりを振り返り、COP28で明記された「化石燃料からの脱却」と化石燃料利権の「構造的な利害の対立」を指摘した。サウジアラビアはCOP29の公式交渉文書を修正したと非難された。
「COP28から1カ月後、米最大の石油ロビー団体は『化石燃料からの脱却は不可能』と米国人に信じ込ませる大キャンペーンを始めた。サウジアラムコのトップは『化石燃料からの脱却はファンタジー』と言った。ファンタジーとは何も問題はないと私たちを騙すことだ」(ゴア氏)
これに対しゴア氏は再生可能エネルギーの発展や気候変動対策に取り組む世界最大の草の根運動を例に挙げ「持続可能性への移行は止められない」と断言した。英オックスフォード大学と国連開発計画(UNDP)の世論調査では世界中の80%の人々が気候変動対策の強化を望んでいる。