(国際ジャーナリスト・木村正人)
「イスラエルの空爆」か、「パレスチナ・イスラム聖戦のロケット弾発射失敗」か
[ロンドン発]パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム武装組織ハマスの奇襲で火を吹いたイスラエル・ハマス戦争で17日夜、ガザ市のアル・アハリ・アラブ病院で爆発が起きた。約500人が死亡したとみられる。ガザ保健当局は「イスラエル軍の空爆」と非難、これに対してイスラエル国防軍は「武装組織パレスチナ・イスラム聖戦がロケット弾発射に失敗したのが原因」と発表した。
ヨルダン政府が首都アンマンでの緊急首脳会議をキャンセルしたため、ジョー・バイデン米大統領はイスラエル訪問後に予定していたヨルダン訪問を取りやめた。ハマスの暴挙を「パレスチナ人を代表するものではない」と主張していたパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長も病院での爆発で出席を辞退した。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長はX(旧ツイッター)で「病院への攻撃を非難する。イスラエル軍から退避命令が出されているガザ北部のアル・アハリ・アラブ病院は患者、医療従事者、市民が避難していた。退避命令は治安の悪さ、重体患者の多さ、病床・代替シェルター不足を考慮すると実行不可能だ」と、イスラエル政府による退避勧告の撤回を求めた。
子どもの支援活動を行う国際NGO(非政府組織)セーブ・ザ・チルドレンによれば「11日間のガザ空爆で1000人以上の子どもを含む2700人以上が死亡したと報告されており、15分に1人の割合だ。ガザの『完全封鎖』が続く中、すでに悲惨な人道的状況は悪化の一途をたどっており、幼い子どもたちは脱水症状で死に始めるだろうと国連が警告している」という。