(英エコノミスト誌 2023年10月14日号)
ウクライナとイスラエルでの戦争、そして台湾侵攻のリスクで米国の持久力が試されている。
民主・共和両党の大統領に国防長官として仕えたロバート・ゲーツ氏が先日、気の滅入るような警告を発した。
米国は中国、ロシア、イラン、北朝鮮から成る危険な同盟に直面しているが、まとまりのある対応ができていない。
「機能不全のために米国の力が不安定で頼りないものになっている。リスクを取りがちな独裁者に危険な賭けに出るよう促しているも同然で、壊滅的な結果を招きかねない」
こう米フォーリン・アフェアーズ誌への寄稿で論じた。
激しい分裂でマヒ状態に陥った米議会
その翌日、米連邦議会はゲーツ氏の正しさを証明したかに見えた。
政府閉鎖の瀬戸際まで対立していた議員たちは9月30日、連邦政府を45日間開いておくためのつなぎ予算を成立させた。
これは一時しのぎの対策で、ウクライナへの追加的な軍事・経済援助が少なくとも一時的に停止される代償を伴った。
また、台湾をめぐる戦争が懸念されているにもかからず、国防総省の新しいプログラムも一時中断されている。
そして今、イスラエルもハマスに反撃するための支援を要請してきている。
ハマスによる10月7日のテロ攻撃では1200人を超える人が死亡した。米国人も少なくとも22人が命を落とした。何人が人質に取られたかは不明だ。
イスラエルには弾薬を積んだ飛行機が到着し始め、ウクライナへの兵器の提供もまだ続いている。
いずれどこかの段階で、恐らくは数週間後か数カ月後に、どちらの国も米議会からの資金がもっと必要になる。
だが、解任されたケビン・マッカーシー下院議長の後任が選ばれるまで、議会は動きそうにない。
この混乱は、下院における共和党と民主党の議席数の差がわずかであることや、共和党が特にウクライナ支援についてひどく割れていることなどに原因がある。