(英エコノミスト誌 2023年10月14日号)
かなりの部分がイスラエルによるガザへの攻撃、そして同国の政治家や近隣諸国に左右される。
過去20年は悪化する一方だった数十年来の変わらぬ紛争においては、真の変化が起こりうると言われても、信じるのは難しいかもしれない。
しかし、イスラエルとパレスチナの昨今の状況をイスラム組織「ハマス」の残忍な攻撃が吹き飛ばしたことは紛れもない事実だ。
ガザでの戦争が中東をさらに深いカオスに沈めるのか、それともハマスの残虐行為にもかかわらずイスラエルが地域の安定、ひいては将来の平和の土台を築き始めることができるのか、その答えは向こう数週間で出るだろう。
イスラエル史上最悪の惨事
ハマスが犯した罪は非常に重く、変化の到来は避けられない。
自宅で、路上で、キブツ(集団農場)で、そして音楽祭の会場で命を落としたイスラエル人は1200人を超える。
大半が民間人で、その多くは女性や子供だ。また、およそ150人以上がガザに連行され、間に合わせの地下牢に閉じ込められている。
パレスチナ人の抱く敵意はカネと空爆で恒久的に管理できる――というイスラエル側の思い込みは、ハマスのブルドーザーが最初に分離壁を破った10月7日早朝に崩された。
ハマスは大量殺人を選択した。もう後戻りはできない。
イスラエルによるガザへの大規模な地上侵攻が刻一刻と近づいている。
その程度と成否によって、ハマスのむごい攻撃が後世に何を残すかが決まる。
また、イスラエル史上最悪の災難の後に政治家たちが直面する重大な分岐点――結束するのか、それとも国の分断を自分のために利用し続けるのか――も同様に将来に影響を及ぼすだろう。
さらには、イランを含む近隣の中東諸国の選択も影響をもたらす。
向こう数週間、数カ月間にわたり、イスラエルの指導者たちは攻撃と報復を望む無理からぬ願望を抑え、長期的な国益と戦争のルールへの揺るぎない尊重について冷静に計算する重い責任を負う。