“アッラーアクバル”と言いながら同志の殉教に祈りを捧げるハマス特殊部隊隊員“アッラーアクバル”と言いながら同志の殉教に祈りを捧げるハマス特殊部隊隊員(写真:橋本 昇)
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(フォトグラファー:橋本 昇)

 今、パレスチナ・ガザ地区のハマスとイスラエルの間での衝突が激しくなっている。犠牲者は2600人以上を超えたと報じられ、双方の死者数が日々積み上がっていく報道に胸が痛い。憎しみの連鎖が広がっている。

「パレスチナ人と仲良くするなんて絶対に無理!」

 20年ほど前のことだ。私はガザ地区とイスラエル双方の取材をした。
当時はまだハマスによる自爆テロが頻繫に繰り返されていた時代で、イスラエル全土、中でも西エルサレムの街ゆく人々は、自爆テロへの恐怖でまるで地獄の針山の上を歩いているようなピリピリとした緊張感に包まれていた。

 通勤のバスの中でも街のカフェでも人々の視線は落ち着かない。恐怖の相手はパレスチナ人だ。パレスチナ人を見ると皆が体に爆弾を巻き付けているように思えてくる。その怯えがパレスチナへの憎しみを募らせていた。

嘆きの壁に祈りを捧げるイスラエル軍兵士。東エルサレムにて嘆きの壁に祈りを捧げるイスラエル軍兵士。東エルサレムにて(写真:橋本 昇)
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 美術品を扱う店の上品な女主人とよもやま話をしていた時のことだが、その女主人は、私がパレスチナ人という言葉を出した途端にそれまでの笑顔を引っ込め、険しい顔で怒ったように言い放った。

「無理です。仲良くできるわけがない。絶対無理!!」