(舛添 要一:国際政治学者)
10月8日、ドイツでは、中部ヘッセン州と南部バイエルン州で州議会選挙が行われた。結果は、ショルツ政権で連立を組む与党3党の惨敗となった。
いずれも中道右派の野党CDU/CSUが勝利し、移民排斥をうたう極右政党「AfD(ドイツのための選択肢)」も勢力を拡大した。今回の2州を嚆矢として、これから2年間、各州で議会選挙が行われるが、2025年の連邦議会選挙の前哨戦として、その結果は大きな意味を持つ。
右派ポピュリズム政党が伸長、有権者は何に不満を持っているのか
投票結果は、ヘッセン州では、ショルツ首相が率いるSPD(社会民主党)の得票率15.1%で、前回に比べ4.7%減っている。連立与党の「緑の党」も14.8%で前回より5.0ポイント減少した。同じく連立与党のFDP(自由民主党)の得票率は5%であった。
一方、野党のCDU(キリスト教民主同盟)の得票率は34.6%、AfDは18.4%を獲得し、5.3ポイント伸ばしている。
バイエルン州では、SPDは8.4%で1.3ポイント減少、緑の党は14.4%で3.2ポイント減、FDPは2.1ポイント減の3.0%で、5%以下のため議席を獲得できなかった。CSU(キリスト教社会同盟、CDUの姉妹政党)が37.0%で第一党は維持したが、少し(-0.2ポイント)得票が減っている。AfDは14.6%と、4.4ポイント得票を伸ばした。
バイエルン州の地域政党で右派ポピュリスト政党である「FW(自由な有権者)」が得票を4.2ポイント伸ばし、15.8%と躍進して2位となり、CSUと連立を維持する。
この両州の人口はドイツの25%を占めており、国政に対する国民の不満を反映した形となっている。