遠くて近きは男女の仲、近くて遠きは田舎の道、だとか。
先が見えつつあるようでいて、簡単にはそこへ行き着けないロシア・ウクライナ紛争は、さしずめ田舎道の前景なのだろうか。
ウクライナの反転攻勢が相変わらずの「遅々として」を続ける間に、同国にとってあまり都合のよくない報道もここへ来て目立ち始めている。
ウクライナに都合の悪い報道も目立ち始めた
その最たるものが、周知の通りの米国の議会混乱だ。
11月半ばまでの繋ぎ予算にはウクライナへの援助関連歳出が含まれず、続く下院議長解任などで、J.バイデン政権が公言してきたウクライナ向け追加援助240億ドルの議会通過は視界不良になってきた。
前大統領・D.トランプの再登板を待たずして、米国からの武器と資金の援助が途切れでもしたら、ウクライナは干上がってしまう。ならば欧州が米国に代わってその分まで、という筋書きはありそうにもない。
9月の訪米でウクライナ大統領・V.ゼレンスキーは、米議会での再度の演説を断られてしまった。
それが単に米議会というコップの中の嵐とばかりと言えないから厄介だ。米国の世論調査では、ウクライナ援助はもうこれで十分との声が増え続けている。
欧州に目を向けると、ハンガリーはウクライナが領内の少数民族であるハンガリー人への差別をやめない限り、同国向け援助継続に反対、と公言する。
スロバキアでは、対ウクライナ支援をやめるべき(その分を自国民へ)、とする政党が議会選で第一党となった。
そして、これまで反ロシアの急先鋒で、ウクライナからの避難民受け入れでも最大限の援助を惜しんで来なかった隣国・ポーランドとの仲が、ウクライナ産の穀物輸送を巡りこじれている。
ゼレンスキーは国連総会での演説で、些か調子に乗り過ぎた。
ポーランドとは名指さなかったものの、ウクライナ産の穀物を受け入れない国はロシアへの利敵行為に走ったも同然、などとやったものだから、ことを大きくしてしまった。
間近に迫った総選挙の結果次第でポーランドの姿勢に変化が出て、関係が多少でも修復されるのかは、まだ何とも言えない。