今の日本は戦後最大の経済危機の入り口にある。
これから起こる米国株大暴落からの世界大恐慌による日本経済への打撃は、バブルの崩壊やリーマンショックの比ではない。
経済大国でいられるのか、それとも急激に「超没落国家」になるのかの分かれ目にある。
日本にとって深刻なのは、「金融巨大災害防止措置」が全く取られていないことだ。
「危機の本質」は「国富の喪失」である。
日本の対外純資産419兆円、32年連続世界一
日本の対外純資産は昨年末で419兆円、32年連続で世界一であり、経済大国日本の力の源泉である。
新型コロナウイルス感染症(コロナ禍)とロシアウクライナ戦争から世界にインフレが広がる中で、食料とエネルギーの大半を輸入に頼る日本人のほとんどが生命や飢餓の危険を感じないで済むのも、戦後日本人が営々として溜め込んだ対外純資産という「国富」のおかげだ。
しかし、「防災措置」がないままに米国株大暴落からの世界大恐慌に突入すれば、「国富」の多くがなくなってしまう。
福島第一原子力発電所事故では、災害の「想定」が不十分で「対策」が不十分だった。
しかし、これから起こり得る史上最大級の金融経済災害については、そもそも「想定」が存在せず、したがって「対策」も存在しない。
しかも、巨大危機が発生した時の「国家体制」が存在しない。深く危惧する。
至急、国家としての「有事即応体制」をとらなくてはいけない。
福島原発事故の「失敗の本質」は、西暦869年の貞観地震、つまり「千年に一度」の規模の震災と津波の想定をしなかったことだった。
多くの地震学者が「そろそろ来る可能性が高い」とした千年に一度の震災と津波がどのような原発事故を起こすのかについては、2011年3月の東日本大震災以前に岩波書店の「科学」の多くの記事が東日本大津波と福島原発事故と同様の危険性を網羅的に指摘していた。
米国株大暴落から始まる21世紀型大恐慌は「百年に一度」の巨大金融経済災害である。前の大恐慌から100年近くが経過しており、「そろそろ来る可能性が高い」。