熱狂はいつか必ず終わる

米国株暴落が大恐慌に至る理由

 なぜ、これからの米国株の大暴落が21世紀型大恐慌を生むのだろうか。

 2つの理由がある。

 一つには、今の米国内と世界の分断が、大恐慌から第2次世界大戦に至った戦前にどんどん似てきたからだ。

 もう一つは、地球環境とエネルギー、食料、資源の限界がきたことだ。言い換えれば、ここまで爆発的に増大してきた人類の成長は限界を迎え、種としての存続の危機を迎えるからだ。

 2050年になり、人類が生き延びてそれまでの未曾有の体験を振り返ることができた時には、大恐慌よりも、世界大戦よりも、「人類の危機」の方がはるかに重大であり、国家や体制や人種や宗教の対立などいかに小さなことだったのかを、生き残った者たちは思い知るだろう。
 
 今からおよそ100年前に起きたことを振り返ってみよう。

「智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」

 つまり、歴史の教訓に学ぶ者は破滅を回避できるが、歴史から学ばない者は大失敗を経験して滅んでいくからだ。

 世界史上最大のバブルの崩壊である1929年からの大恐慌の直前には、今とは比較にならないイノベーションの洪水と熱狂が米国に押し寄せていた。

 エジソンが発明し普及させた電力とあらゆる電化製品は、米国人の生活を一変させた。

 無線通信によるIT革命は、初めてリアルタイムで地球を結んだ。フォードが導入した車の大量生産は、米国に大衆自動車社会をもたらした。

 ロックフェラーの近代的な生産とビジネスのモデルは、石油をエネルギーと化学製品の主役にした。飛行機は、大陸横断すら可能にした。

 高層ビルの建設手法が発明され、ニューヨークなど大都会に摩天楼が出現した。

 つまり、いまや日本人も享受している「便利な現代生活」の多くは大恐慌前の米国で生まれた。