そこに原作へのリスペクトはあるのか?

 1月29日、人気漫画「セクシー田中さん」などの作品で知られる芦原妃名子さんが亡くなった。自宅からは遺書が見つかっており、自殺とみられる。「セクシー田中さん」を原作としたドラマ化にあたって、「必ず漫画に忠実に」などの条件が反故にされたと訴えていた。大幅に改編された脚本だったとのことで、第9話と最終話の第10話は芦原さん自身が脚本を書き直している。

 日本テレビや脚本家とのトラブルについては特にコメントするつもりはないが、今回のような問題が起きる背景には、メディアによる安易なコンテンツ作りもあるのではないか。名の知られていないクリエイターによるオリジナル作品は企画を通らず、漫画やアニメのような部数やファン層が見える作品を原作とした企画のほうが上司や営業を説得しやすいという話はしばしば聞く。

 新たな才能は場を与えなければ出てこない。テレビ業界に限った話ではないが、メディアは自らの首を絞めているように見える。(作画:田楽庵、文:蛙)

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【田楽庵】
フリーランスイラストレーター/漫画家。
東京都生まれ。武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業。別名義で週刊少年ジャンプ+(集英社)にて新人賞受賞・掲載歴あり。

【蛙】
編集者/ジャーナリスト
東京都生まれ。大手メディアで記者や編集者を歴任した後、独立。