テスラの株価は経営環境と完全に乖離してしまった

 テスラの時価総額が11月4日には約140兆円に達した。

 11月6日の日本経済新聞の記事によれば、テスラ株の「異形のバブル」を支えるのはオプションの「権利」といった仮需に応じるマーケットメーカーだという。

 テスラ株のPER(株価収益率)は1600倍を超え、英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)のS&P500の予想PERの20倍に比較して相当に高い。

 日本でも多くの人がテスラ株を買っている。

脆弱な経営基盤

 ただ、私から見たら、テスラは20世紀型の「自動車製造販売」の域を出ていない。しかも、高価格路線でありながら台数と規模の拡大を目指している。

 最も脆弱である。

 これまでにも説明してきたが、今後の自動車交通は、20世紀の鉄道と似た道を辿るだろう。それは、付加価値が、車両→移動→生活=都市へ移動することだ。

 世界の鉄道事業の中で、移動だけでなく、買物や住宅やオフィスや娯楽やリゾートといった、生活と都市の要素を取り込んで大成功したのは、日本の私鉄を中心とした鉄道企業だった。

 付加価値の移動に伴い、鉄道車両の相対的な重要性は低下した。