東京・秋葉原で街頭演説に臨む自民党総裁候補。演説しているのは茂木敏充氏(9月24日、写真:アフロ)
日本が高度成長できた理由
いま自民党総裁選では、候補者たちがこぞって「成長戦略」を口にしています。
しかし、その多くは「投資さえすれば成長できる」といった抽象的な言葉にとどまり、肝心の「どの投資が真の成長を生むのか」という議論は欠落しています。
多くの人は「株式に投資すれば成長する」と信じていますが、それは誤解です。
成長投資には大きく2つの柱があります。第1に、新しい企業を育てるベンチャー企業投資。
第2に、国土や地域の生産性を高めるインフラ・不動産投資です。
これらこそが経済成長の源泉であり、日本の高度成長を支えた基盤でもありました。
日本には世界でも稀有な260兆円の公的資金、GPIF(年金積立金)が存在します。
しかし、その巨額の資金は、株式と債券、それも大型の上場株や国債にほぼ固定的に振り分けられており、ベンチャーや地方インフラにはほとんど回っていません。
その結果、成長分野に投資ができず、過去30年間の停滞を招いてきました。
かつて日本が成長したのは、銀行がトヨタ自動車やソニーなどが未公開企業の段階から果敢に融資し株式を保有し、国家が財政投融資を通じて新幹線などのインフラ投資や都市建設を進めたからです。
しかし、1990年代のBIS規制導入と2001年の財政投融資改革によって、この2つの成長エンジンは失われました。