トランプ大統領とのツーショットで微笑む赤沢亮正経済再生担当大臣(4月16日、提供:Molly Riley/White House/ZUMA Press/アフロ)

日米経済が対立から協調へ、歴史的転換

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 先週、米国のドナルド・トランプ大統領が日米関税合意の内容に沿った大統領令に署名した

 日米関税合意の内容は「日米経済安全保障条約」というに等しい。完成すれば史上初の日米経済同盟がスタートする。

 これまでの日米は、軍事面では同盟国、経済面では米国市場を奪い合うライバルであった。

 日米関税合意が実行されたら、軍事と経済、両面での「日米同盟」が事実上スタートすることになる。

 日本にとっては、国家百年の計の金字塔になるだろう。

 戦後の日米関係は、軍事的には片務的な日米安全保障条約に基づく同盟関係、しかし、経済的には米国市場を奪い合うライバル関係であり、日米貿易摩擦は時に爆発してきた。

 その構造は、

日本:日本での生産を基本とする対米輸出と貿易黒字。

米国:対日輸入と貿易赤字の増大と失業→この不満がトランプ政権を生んだ遠因の一つ。

 日本は貿易黒字の多くを米国債購入に振り向けてきたが、米国人の雇用に直接の影響はない。

 米国には「日本のおかげで失業した」という不満がたまった。

 日本にとっても、安全資産であり最低利回りの米国債からの投資収益は高齢化が進む日本の国民資産形成には不足だ。

 また、米国債投資は日本の投資家の投資技術やイノベーション投資能力の向上への貢献も小さい。

 かくして、日本では「老後の資産が足りない」「大した収益を上げてくれない」という不安がたまってきた。

 しかし、今回の日米関税合意が完成すれば、日米の経済関係が変わる。