輸出入総額は昨年並み、輸入額は上回っている
ロシアがウクライナに侵攻して10カ月が経った。厳しい冬を迎えたウクライナの人々は、ロシアによるインフラ施設攻撃による停電などの影響で、凍えるような寒さをしのぎながらの苛酷な日々を過ごしている。
その一方で、ロシアの一部の国民がタイのリゾート地で優雅な休暇を楽しんでいるシーンが報じられている。まったく、やりきれない話である。
さて、そのロシアとの関係で気になるデータがある。日本は現在、ロシアに対して経済制裁中なのだが、今年1─11月までの対ロ貿易の実態を検証すると、すでに輸出入総額は昨年並み、輸入額は昨年を上回っている。経済制裁中にもかかわらず、制裁前よりも取引額が上回るという異常な事態が起きているのである。これは見過ごせない問題だ。その内情を検証してみよう。
貿易統計によると、1─11月の対ロ貿易(累計)は、輸出5423億円に対し、輸入約1兆8252億円で、1兆2829億円の赤字となっている。輸入額は令和3年のトータル1兆5516億円をすでに2700億円超も上回っている。それだけロシア国内に日本から巨額の貿易マネーが流れ込んでいるということだ。
経済制裁下でいったい、どんな取り引きが行われているのか。輸出と輸入それぞれについて代表的な品目をチェックしてみよう。