そのキャラクターを東京のメディアが放っておくはずがなかった。講談社から発売された彼の自伝『紀州のドン・ファン』は、上梓されると毎月重版されるほどの人気となったのである。ちなみにこの本は、野崎氏にインタビューした内容を、都内在住のジャーナリストの吉田隆氏がまとめたもので、野崎氏から信頼を寄せられた吉田氏はその後もドン・ファンこと野崎氏からいろいろな相談を受ける仲になっていた。

55歳年下美女との電撃入籍

 そんなドン・ファンに2017年暮れに転機が訪れた。札幌出身で都内に住む自称モデルの女性・須藤早貴と初めて会ったのだ。ご存じのように、野崎氏が自宅で死亡した後、殺人容疑で逮捕された女性である。

 早貴被告は当時21歳で、76歳だったドン・ファンとは55歳の差があった。2人は紀南の観光地を一緒に巡ったり、都内の高級ホテルで食事をしたりして交際を重ねていった。そして2018年2月8日、突然田辺市役所に婚姻届けを提出したのである。これは野崎氏の会社の役員を務める番頭役の「マコやん」や吉田氏にも全く知らせずに事を進めた「電撃入籍」であったという。

野崎氏は早貴被告に「毎月100万円あげるから」と言って結婚を申し込んだという(撮影:吉田 隆)

 野崎氏は早貴被告に結婚を申し込むとき、「掃除、炊事、洗濯などの家事は一切やらなくていい。月100万円の小遣いを上げるから結婚しよう」という破格の“契約”を申し出ていたという。

 だがその後、早貴被告は引っ越しの準備があるからと東京に戻ると、4月まで田辺には姿を現さなかった。